ACT2“家畜人ヤプー・リリスの帝国編”第19話


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◎ΨΑΛΜΟΙ γ´(プサルモイ トリア・詩編3)◎
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“家畜人ヤプー・リリスの帝国編”ACT2・第19話
★ΑΝΝΑ β´(アンナ デュオ・女神アンナの書2)★


 西暦3970年……。ヤプ−暦1748年……。10月14日。



「古代“アトランティス帝国”の事です。」

 ……ウイリアムが、クララに続けた。
「地球に住む、イース人なら誰もが知っている事ですが、クララさんには初耳でしょう? 今の我々の住まっている地球の文明は“第5文明期”とも呼ばれています。

 私達の先祖“クロマニヨン人”の直系の先祖は、今から15万年前の南極に始まりましたが。
 丁度今から10万年程昔の時代に第1期文明が起こり、最終的に“エジプト”と“インド”で、大きな“核戦争”が起こりました………。古代インドの叙事詩“マハバーラタ”に、その頃の記録が残っています。
《弾丸が発射され、町は燃え尽きた。それが爆発した瞬間には天心に一万個の太陽が有るように明るかった。》と。

 だけれど、エジプトの方の記録を書き記した“古文書”はもうとっくに消滅してしまって、残っていませんけれどね。」

 クララは返した。
「“当時”の人間に、そんな大それた“兵器”が造れたのですか?」

ウイリアム「それが造れたらしいのですね。核兵器を造る事は、理論的には簡単です。」
クララ「その後……。どうなりましたの?」

ウイリアム「地上に放射能が溢れ、空が落ちて来ました。“落ちた”という言い方は変ですよね。宇宙からの放射線が、大気圏を侵されたがために、地球へ大量に降り注がれる事になったのです。それに放射能による、大気汚染と土壌破壊です。

 いつの時代も人類はそうなのですね、“核”による“放射能汚染”の事はまるで念頭にも考えないのですね。
 そこで私達“イースの未来人”が、当時の惨事に対処しました。ややこしい話ですが……。」



 そこで、“地球支部・タイムパトロール総監”アンナ侯爵が口を挟んだ。

「そこで、私達の活動が必要となったのです。北半球を占める地中海の中央に“人工島”を造り、その中央に巨大な“黄金の柱”を建てました。それがいわゆる“τ空間”。つまり“第6次元通路”です。私達は、シリウスを始め10か所の宇宙空間から、人材資材を集め、大気圏の復旧作業と、放射能の除去作業に取りかかりました。それがいわゆる……後世代の人達が不思議に思った“アトランティス帝国”だったのです。

 私達は随分“ヤプー”を潰しましたね。放射能を除去するために、ヤプーの頚椎の一部に、“アルゴノス”と呼ばれる“放射能分解酵素”を出す、アルゴス星系産の“きのこの芽”を植え付け、放射能を多く含んだ砂漠と化した大地に、約20メートル置きに自身で穴を掘らせ潜り込ませました。

 彼等は地面に潜る間もまもなくして窒息死しますが、“アルゴノス”は“ヤプー”の血肉を栄養にして成長し、放射能を除去します。
 アルゴノスに食べられたヤプーとアルゴノス自体は、後に無害の灰に変化し分解します。地上の放射能を全て除去し終えるまでに、800万匹ばかりのヤプーを潰しましたが……。

 あれは大変な作業でした。大気の方は、身体に無害なイオン発生装置で急遽押さえ込みました。」



 アンナは続けた。
「私達イース人は、多種の“白人種”で形成された種族です。私達人類は、地球と共に滅びやすい壊れやすい性質を持っているようです。

“私達イース”は、のちのインドとエジプト文明の保護者となりました。エジプトの“スメール種族”。インドの“アーリア種族”は“イース”の科学技術に驚嘆し、私達を“神”のように、思えたのでしょうが……。」



“時空飛行艇・ラピュータ”は“時間飛行艇”でもある。ラピュータは、間もなく目的地。紀元前7001年の“南米大陸”ペルー。標高2400メートルの空中都市“古代・マチュピチュの太陽の神殿”へと到着する。

 今正に、ラピュータの眼下には、広大な“ナスカの地上絵”が広がっていた。

 ここは、ラピュータの運行用“司令塔”の中である。
 司令塔には、たくさんのスクリーンや立体画像が空中に写し出され、眼を見張る程の美しさである。

 司令塔の大きな透明の窓から、数人のイースの女性軍人達が操縦する、広い操縦室もよく見える。
 まるでそのようすは“宇宙戦艦ヤマト”の“ブリッヂ内”さながらである。

 今。司令塔の、少し目高い場所から、操縦室の真正面のスクリーンに“ナスカ名物”の一つ、“蜘蛛”の絵が写し出され、その絵がどんどんと横の方へ移動しつつある。その付近には“ハチドリ”。よく判らない小さな鳥の絵も描かれている。




 ウイリアムが、アンナに言った。
「あれは“宇宙地図”なのですよね。」

 アンナが答えた。
「ええ。それも地球から見える“イース帝国”の所在を示す地図です。彼等は、死ねば“鳥”か“蝶”の姿になる。そして、地上に住まう自分達の“王や貴族”を“神の僕(しもべ)”と考え、少しでも“私達イース人”に近づこうと考えていたのね。」

 眼下に広がる、ナスカの数学的、幾何学的絵画の技術の集大成を見た限りでは、古代の知性とは言え、決して馬鹿には出来ないものがあった。
 この時代は丁度、地球全体から言う所の、人類の“第3期文明”の頃に相当する。



 アンナがポーリーンに言った。
「今回は、最上級のヤプムが手に入りそうだわ。今度のは、ヤプーダムの星“畜人星(ヤプーナリー)”なんかで、手に入れる“既製品”じゃないわよ。列記とした“天然物”よ。“上付き上物(子宮前屈タイプ)”で、“傷”1つないわよ。ここの“ヤプム(子宮畜)”は、生まれた直後から教育が成されていて“従順”そのものよ。」

ポーリーン「楽しみだわ。」





 なぜ、“ヤプーの収集”に“ペルー地域の古代人”なのか?!
 理由がある。

 実は“ペルーの古代人”ばかりではない。“マヤ”“アステカ”“インカ”を始めとする、多くの領域に住まう、“中南米領域の黄色種”のほとんどが実は“ヤプー”なのだ。
 また、北アメリカに住まう“古代のインディアン族”達もまた、その例外では無かった。

 彼等は“イース世界”では、“ネアンデルタール”と合一の“プラスミド”を有する、“ヤプー”だったのだ。
 現代の中南米では、かなりの“白人種”“黒人種”との混血が進み、“ヤプー”と判断される者は減っている。しかし“プラスミド(ミトコンドリアに含まれる、円形の遺伝子)”そのものの変化は、ありはしない。

 しかるに、プラスミドを見れば、はっきり“イース人”か“ヤプー”かが判る。



 クララは、アンナ達からこっそり離れ、“レファランサー(小型諮問機)”にじっと耳を押し付けたまま、しばらくの間、その場にたたずんだまま、ただ茫然となっていた。

 間もなくクララは思った。
『私達クロマニヨンと、ヤプーの先祖である、猿人ネアンデルタールに大きな生物的違いは無いだろうに……。人間は、犬や馬は従わせるもの。牛や豚は食べるもの。さすれは“猿”と称する生き物は、ペットか、あるいわ実験動物とするのが順当なものなのか……?! それにしても限り無く“ヤプー”は本当に本物の“人”に近い“猿”であるらしいわ。』と……。



 ちなみに、ナスカの地上絵は現在では、紀元前700年頃に描かれたものであると推測されているが、ここイース帝国の関与するナスカの猿人達は、もうすでに紀元前7000年の昔に、地上絵を、完成させていたのである。……実は、のちの時代の史実が間違っていたのだ。

 また、現在現存するインカ人の都市。“マチュピチュ”の“古代空中庭園”の跡地も、現在の常識では、紀元前2500年以降に造られたであろう遺跡といわれているが、
 紀元前7000年……。“アトランティス”が海に没したのち、この時代にはもう既に、未来からの訪問者“イース人”達の手が掛けられていた。

 天然の“ローヤプー(全く加工を施してしていない者)”。古代人とは言え、その持てる技術は、20世紀の地球人のものと比べても、引けを取るものでは無かった。

“イース人”達は、インカの“ローヤプー”達に、特に重要な学問として“天文学”と“数学”“気象学”の知識は教えてはやったが、彼等はそれ意外にも大変高度な、金属や鉱物の加工技術や医学、薬学の技術を既に自身の文化として持っていた。

 
 はっきり言える事が1つだけある。

 ここマヤ、アステカ、インカ、ナスカ等。中南米領域には、数十を数えるローヤプー達の集落国家がある。彼等は皆一応にして、イース人達の事を、紛れもない“神々”と考えていた。
 それも“白い神・ケツアトルコアトル”とか、“知恵の神・ククルカン(翼のある蛇)”。飛翔する神、“鳥人”としても崇めていた。

 彼等は皆、一応にして同じような“宗教観”を持っている事が不思議であり。
 そしてまた、彼等は“尊い白神”のために決して“命を惜しまぬ種族”であった。


 ちなみに、彼等の暦は一応にして“金星暦”を使い、1ヵ月を24日、1年を15ヵ月と換算し、毎月ごとに“イース人達”が要求してくる仲間の肉体を、“神への供物”として献上した。

 ちなみに“イース人達”が、中南米の人々の文化に関与したのは“西暦400年頃”までである。それ以降は全く“イース人達”の関与は無い。

 しかし、神への“仲間を供物とする習慣”は、のちに西暦16世紀になって“スペイン人”による征服が行われるまで“決して”、途切れること無く行われていたのである。



 彼等の“供物”の扱いはこうである。
“生きたまま心臓をえぐり取る。”“生きたまま首を切り取る。”“石で頭を殴りつけ殺す。”“舌に穴を開けたり、切り取ったりして体中の血を抜く。”“生きたまま生皮を剥ぎ、その皮を神官などが着て踊る。”等の儀式を月ごとに、年間15回をも、年間にして1部族にして数百人の人間を“供物”として捧げていたのである。

 彼等は、一応にしてこう言う。
「我等の神は、我等の命を好む。それゆえ、我等は“最上級”の者を選別して“供物”とするのだ。“神”への捧げ者の“供者達”は皆、“天国へ召す”が、普通に歳をとり亡くなる者や“供物者”として価値の無い“病傷人”は、皆地獄へ落ちるのだ!!!!」と……。







“マチュピチュの空中都市”の高台には、黄金の縁取りで飾られた、半径100メートル、高さで10メートル程度の、平たいつるりとした“円柱形”の“白亜の宮殿”が建っていた。
 インカ人達はのちの紀元前1000年程後になって、徐々にこの当たりに住まいを構えるようになったのだが。現時点の紀元前7001年の現在では、“イース人”の手によって建てられたごくシンプルかつ壮麗なる、建築物が1つ建っているだけであった。

 この高山地帯の“白亜の宮殿”から、元段階の“旧インカ人達”の住まう集落のある平地までの距離は、歩いて、半日はかかる距離である。


 天空の彼方から、大地を見下ろすと、今正に黄金で造られたネックレスや、冠、指輪、耳飾り。それに金銀の刺繍を施した純白の衣服を身にまとう。“神の花嫁”と称される“ヤプム”が一匹、半裸で純白の腰巻きに、金色の布ようベルトを巻いた、4匹のヤプーたる男達の担ぐ“神輿(みこし)”に担がれて、同じように金の刺繍に純白の衣装をまといつつ、巨大なエメラルドを付けた黄金の杖を手に持つ“神官”と称する1人の老人と一緒に、荒れ野の岩場を上がって来ている。



 神輿の後からは、また数人の未婚の若い女らしき者達が、黄金、白衣に着飾った装束のなりで、一緒に付き添って、上へと上がってやって来ていた。

 ポーリーンが、ラピュータの指令室にあるスクリーンを見つめながら、
「“神輿”に乗っている、あの可愛い“雌畜”が私の“ヤプム”なのね。」

 と言うと、アンナが、
「あの雌畜は中南米、及び、ムー大陸地区総司令官。“イザベル侯爵”の御墨付きよ。」



『“ムー大陸”ですって?! あれも“アトランティス”同様確か、“空想上の大陸”のはずじゃ……?!』

 クララは、一瞬、不思議に思い。間もなくこっそりと、レファランサーに聞き正した。
 レファランサーは、クララに対して、すんなりと答えた。

「はい。“ムー大陸”は現存しました。紀元前6500万年の中生代末期から、海に没する紀元前12000年もの間、北大平洋のほぼ中央に、黒い柱と呼ばれる“τ”空間への“時空の柱”の管理地域として現存しました。

 この時空と大陸の管理者は“イザベル・クローディア・クロニクルス侯爵”……。東ゴート、ゲルマン系にて。別名“クロノス(時間)長官”とも呼ばれ、古代ムー大陸と、アメリカ大陸中南米地区のタイムパトロール司令官で。“アンナ・オヒルマン侯爵”の叔母に当たり、かつ直接の臣下であります。
 ちなみに、ムー大陸の別名には、ミュー大陸、ニライカナイ等の別名も存在します……。」



 クララは続けて、レファランサーに問うた。
「“アトランティス”の事も教えて。」

 レファランサーは答えた。
「“アトランティス”。古代ギリシャ人の文献によると、“アトランティコス(アトラスの治める国家)”と呼ばれ、紀元前10000年前に海中に没したとされています。それは、ほとんど正しい見解です。

“アトランティス帝国”は、紀元前10万年頃に起こった、当時の最終戦争による自然破壊の修復を目的として、“黄金の柱”と呼ばれる“τ”の空間柱を守る大陸として存在していました。
 アトランティスは、紀元前10万年から紀元前1万年の間、北大西洋において、存在した大陸の名称で、当時“アトラス侯爵夫人(注・イース世界では、概婚の男を“夫人”と呼ぶ習慣がある。ちなみにアトラスは本人名)”、アトランティス帝国代表係官として、10人のアトラス侯爵夫人の娘達、“子息令嬢達”と共に、アトランティスを統治していました。

 また“アトラス侯爵夫人”は“アンナ・オヒルマン侯爵”の“異母兄弟”の“兄”に当たり。アトランティスが海に没した後も、現在 “ヘラクレスの柱”と呼ばれる、“予備時空柱”の監視役に現在当たっています……。」



 クララは続けた。
「じゃあ、“古代ギリシャ神話”に登場した、“巨神・アトラス”とは、彼の事?!」

レファランサー「そうです。彼は“ヤペトス侯爵夫人(注・概婚の男・夫人。ヤペトスは本人の事)”の息子で、長男です。次男の名を“プロメテウス”。3男の名を“エピメテウス”と言い。のちに“ギリシャ人”の先祖となった人達です。

“ヤペトス侯爵夫人”は、後に東の島国“ヤマティコス(ヤペトスの治める国家。癒しをおこなうものという意味)”監視官になりましたが、のちに“ヤマティコス”は“ヤマト”と呼ばれる国になりました。
“アンナ・オヒルマン侯爵”はのちに、“ヤペトス侯爵夫人”の意志を継いで、現在“ヤマト総監視官”としての職務も兼任しています。」

クララ「“ヤマト”って、“ヤプー”の国ね?!」
レファランサー「そうです。しかし“ヤマト”は、西暦2222年にして国家としての“価値”を、完全に喪失しました。」



 クララは、ふと思った。
『当然。“アンナ侯爵”が、日本の“太陽女神・アマテラス”と“同一視”されたり。“古代ギリシャ神・ヘラ”と“同一視”されるはずだわ!!!!』と。2001'2'18'



原文・2001年2月3日。絵・文の写し・2004年8月製作。


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