ACT2“真・家畜人ヤプー・リリスの帝国編”第14話、第15話


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“真・家畜人ヤプー・リリスの帝国編”ACT2・第14話


★ΤΩΝ ΧΡΟΝΙΚΩΝ α´(トーン クロニコーン・歴代史1)★


 西暦紀元前40年。地球。ヤプー暦紀元前2262年



“古代ローマ帝国”の支配下にあった巨大王国……。
それも、大いなる神々と豊穣なる大地。広大なるナイルの賜物。平和なる人々が住まう成したる経済大国“エジプト”……。



 ここはかつての王。クフ王たるものの記念碑。ピラミッドの登頂部である。

 そこへ今、いたいけなるエジプト人。たった双人の恋人達が佇んでいた。
 女の名を“リディア”。男の名を“イオニウス”と言った。

 リディアが言った。
「もう私達の王国。“エジプト”は、お終いね!! これから“私達”はどうなるの?!“戦争の兵器”にされるの?! 飢えたる“荒野へ棄おり出され”るの?! 私達の“希望の光”。“クレオパトラ7世、女王陛下”が到頭、お隠れになってしまった……。私は“ローマ人”なんか大嫌いだわ!!! 侵略者め!!! 盗賊共め!!!“ローマ人”なんか!!! この栄えある神々の王国“エジプト”から、一匹残らず消えてしまえ!!!」

 リディアはピラミッドの頂点に立つと、大声を上げ、今正に下界へ連なる“ローマ人達”を相手に、全身全霊の怒声を張り上げ何度も何度も、叫び下ろした。
「“ローマ人”なんか出て行け!!!この、神聖なる“エジプト”の大地を、お前等“ローマ人共に”荒らされてたまるものか!!!“ローマ人”なんか出て行け!!!“ローマ人”なんか出て行けー!!! ……出て行け!!!」

 リディアの両目からは、おびただしい程の涙が流れ出ていた。

 エジプト軍平の独りであるイオニウスは、かつての“クレオパトラ女王の側近”の独りだったリディアの肩を、そっと抱き抱えると、リディアの口許に優しくキスをし、慰めるように言った。

「もうやめよう……。あんな“ど腐れ”共の“ローマの群兵”に、言葉を投げてやる程の価値は無いさ!!“ローマ”なんて、いずれは滅びるさ!! リディア!!“人の魂”は永遠なんだよ。“身体”はいずれ“滅ぶ”が、“魂は生きる”のさ……。私達は、この先、双人きりになっても、残り少なくなった私達の“エジプト王家の歴史”を、せめて見守っていこうじゃないか……!!」

 リディアがぼそりと言った。
「私。“信じるよ”!!!“人の魂が永遠”だって!!! 今。私達はここにいるけれど、将来……。途方も無い未来。きっとまたどこかで、双人の命は、巡り合えるんだって!!!」

イオニウスはリディアの両目から、流れ出る涙をまんじりと見つめると、
「私達は、今度会う時は“大空の星”の一つ。“シリウス”で会おうね!!! あれは、母なる女神“イシス”の星だ!!! 我々のクレオパトラ様が、お行きになられた星だ!!!」

 間もなく双人は、長い長い永遠なる時間の中で、お互いに肩を抱き合い。

 天空の彼方“シリウス”たる輝ける“恒星”を見つめながら。
「“シリウス”だ!!!“シリウス”だ!!! 一緒に“シリウス”へ行こうね。そして、そこでまた私達の女王“クレオパトラ様”のお側で仕えようね……。」と、互いに約束し合うのだった……。




 かつての、軍事大国“帝政ローマ帝国”は、その後。
 北方族“ゲルマン”達の攻撃を受け、西暦565年に、ついに“ユスティアヌス帝”と共に滅び去り。

 永きの間。ローマの支配下にあった“エジプト”は遂に、自身の手に解放された。
 そしてまた。王を頭に頂く“古代エジプト”の、伝統的“神々”もついに、紀元6世紀をもって、その教えの幕を閉じた……。






《エジプトの最高神“太陽神・ラ−”よ!!! 神々の母“イシス”よ!!! そして、天空の女神“ヌト”よ、そして“ハトホル”よ。汝らは“エジプトの大地”から、多くの“古代エジプト人”たる“神々の子孫等”の“魂”を連れて、何処へ逝かれたのか……。母なる恒星“シリウス”に新たなる“希望の大地”そして“天の王国”を求めて!!!》


原文・2001年2月3日。絵・文の写し・2004年4月 製作。




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