“家畜人ヤプー・リリスの帝国編”ACT1・第12話、第13話

ACT1・6
☆ΚΑΤΕΓΟΝΙΑ(カテゴニア・神統記)☆
☆ΘΕΟΣΑΙ δ´(テオッサイ テトラ・神々の宴3)☆




“家畜人ヤプー・リリスの帝国編”ACT1・第12話

★ΚΑΤΕΓΟΝΙΑ(カテゴニア・神統記)★



 
地球西暦3970年……。
(ヤプー暦紀元1748年……。)10月14日。

 リンの“畜人戸籍登録”も終わり、そして“権利宣言の鞭”の儀式も終わり。

 今“クララ・フォン・コトウィック伯爵”は、友人の“ポーリーン・ジャンセン侯爵”と、その甥“伯爵子息・ウイリアム・ドレイパア”3人と共に、
 ジャンセン家の“自家用時間飛行艇”“ククルカン”と呼ばれる、“古代中南米神話”に出て来る、まるで“翼を持つ青い大蛇”の形に酷似した“列車風乗物”に乗り、中央アジア、コンロン山脈の北、タリム盆地なる“タクラマカン砂漠”の上空に浮かび上がる、“飛行島・ラピュタ”を目指して飛行中であった。

 飛行の目的は、“ポーリーン侯爵”の使用すべく“ヤプム(子宮畜・妊娠したイース人の胎児を、ヤプーの子宮に移植して、母親代わりに妊娠させるヤプー)”の収得である。

 実は“ポーリーン侯爵”は現在、妊娠1ヶ月の身体(からだ)なのであった。
 現在ククルカンは、雲のはるか彼方上空を、時速2000キロのスピードで飛行中であった。

 その頃、クララ伯爵は、客用の客室の個室の長椅子の上に、ごろりと寝そべりながら、ポーリーンからもらった“イース世界”や“ヤプー”の事等を色々と教授してくれる“ポケット・レファランサー(携帯用諮問器・問いかけに答える、手の平に入る程度の大きさの機器)”と呼ばれる機器を耳元に当てながら、ゆっくりと会話に勤しんでいた。

 クララは、長椅子に寝そべりながら、ふと思った。
『この“長椅子”は、なんて肌触りが良く、柔らかく、快い温かみがあるのだろう……。』

 クララが足元を見ると、直系20センチ程度の円形の穴が開いていて、その穴の中から“丸い半円形の黒い毛の生えた、肉ようの物質”が突き出している……。
 クララが、不思議に思い、その“丸い物”を足先でつついたり、こね回したりしていると、なぜか長椅子が“ぷるぷる”と震える……。
 それに、足先が温かくて、何かしら気持ちが良い……。

 間もなくして、クララは直感で思った。
『この中に、ヤプーが入っている……。多分“リン”が入っているのね……。だって、この椅子、“リンの匂い”がするもの……。
 そう言えば、私。“権利宣言の鞭”のあと、まるで“リン”の姿を見ていない……。』

 そう思うと、ますますかクララは、足元の半球を足先で間探ってやりたくなった。
 クララには、リンに対する若干の恨みもあった。それに複雑な思いにも駆られる。

 クララにとっては、その長椅子の中身が何であれ、どうでも良いことであった。

 クララの身長、1メートル75センチ、体重60キロ、どうやら、クララの全体重が、その長椅子の上に乗りかかっているようである。
 何時の間にかクララは、自分が足先で黒い毛のかたまりを、まさぐるたびごとに、長椅子がぷるぷる(痒そう……)と震える事に気が付き、快感を感じるようになっていった。

 それゆえにかクララは、いつまでもいつまでも足先で、“長椅子の出っ張り”のそれを、間探り続けるのだった……。







“レファランサー”がクララに答える、地球の未来の歴史……。

 1977年。
“人類発”の“光速宇宙船”は。“イギリス”の宇宙船であった。その名も“グロリア(栄光)”
 グロリアは“一千人”の“探検隊員”を乗せた“有人宇宙船”で、希望峰から、4.5光年離れた
“アルファー・ケンタウリ”を目指して飛び去った。

 翌年……。1978年。
 突然
“第3次世界大戦”が、“アメリカ合衆国”から“勃発”した。それはいわゆる核戦争であった。
“核”は“ソビエト連邦”及び“中国”“中南米”“アラブ諸国”を中心に、あらゆる“共産国家”と“社会主義国家”をターゲットに、軍事用“人工衛星”と“月面秘密基地”から、一同に瞬時に叩き込まれたのだった。

 これらの
“核戦争”は、わずか1日で“終結”した……。

 結果は、
全世界から無差別に“15億”の死者を出し
“共和圏諸国”と“社会主義国家”の世界に多大なる廃虚的爪痕を残し、“アメリカ合衆国”への“無条件降伏”となった。

 その後……。数十年経ってしても、核爆弾の後遺症は残った……。
 実は。世界中の“約30億”の人間が“核戦争後の副作用”で、その後に亡くなったのだ。

 その後……。
 1997年……。再び
“ソビエト連合(連邦ではなく、連合諸国と成した)”の“報復”が始まった。

“ソビエト連合”より、
“Ω(オメガ)爆弾”と呼ばれる“殺人ウィルス”による“生物兵器”が、“アメリカ合衆国”各地に、数発落とされたのである!!!

 これは、世界中を巻き込む
“Ωフィーバー”と呼ばれる、“大惨事”となった。
 これは“感染”するや、3日以内に“高熱が発症”し“死”に至るものである。

 これは、“超強力”な“空気感染疾患”ウイルスが、全世界の気流に乗り、全ての
“黒人種”達と、世界中の“白人の過半数(特に黒色、褐色、黄等の白人種)”の“命”を総舐めにした。

 これの“繁殖原因”の一つは、“メラニン色素”にあった。
 多い程、“ウイルスの繁殖率”は高まる。

 しかしなぜか、
混血種を加えて“日本人”のみに“発症”が起こらなかったのである。

 これはのちに判った事だが、原因は、
“日本人”のみに存在する“DNA”の構造にあったのである。
 その“DNA”こそは、
古代原人“ネアンデルタール種”の中に唯一存在する、寄寓なる“プラスミドの遺伝子”、“γ(ガンマ)遺伝子”の存在であった。

 間もなく“アメリカ合衆国”は、怒りに狂い“最終兵器”に訴えた。






 西暦1999年7月……。
 それは、
世界中を“死”に至らしめる程の大量なる“プルトニウム爆弾”の投下であった。

 それもソビエトは元より、ヨーロッパ、全アジア、大平洋、北アフリカ、中南米、中東、オーストラリア大陸全土である。



 その後……。
“世界はネジ曲った”……。



 その後……。
“レファランサー”が、
“イース帝国”の歴史について、語り出した。



 1977年に“喜望峰”より出航した、イギリスの有人宇宙船。
“光子力宇宙船(フォトン・シップ)・グロリア”は、ついに西暦1982年において、“アルファー・ケンタウリ系圏”に到着。
 そして、ついで1986年において、
アルファー・ケンタウリ系“第4番惑星”において、人類の住める惑星をついに発見した。
 のち、この惑星を
“新地球・テラ・ノヴァ”と呼ばれる事になった。

 再び、“グロリア”の“地球帰国”年は、1991年であった。

 その後、放射能に汚染された地球を残してイギリスは、わずか
“10万余名”の“健常”なる“人達”と、当時の“イギリス女王・マーガレット”を乗せた、“ノアの箱舟”と称する“光子力宇宙船団”を、1999年に地球を飛び立ち“テラ・ノヴァ”を目指した

 それは、アメリカ合衆国が、プルトニウム爆弾を世界中へ投下する、直前の事だった……。



 かくして、わずか“10万余名”の“地球人類”が到達した、“最後の王国”……。
“テラ・ノヴァ王国”が、“イギリス女王・マーガレット”によって設立したのは、2004年の事であった。
 その後、約100年後に、また次の約3万余名の“白人”達が、この“テラ・ノヴァ王国”へ開拓民としてやって来た。それが最後の“白人”達の乗った船団であった……。



 その後……。「“地球の人類は全て滅亡した。”」と、記述には載っている。

 西暦
2215年、“テラ・ノヴァ人”は、シリウス星系に到達。
 その後、その星系にて、
第11番惑星“カルー”を首都とする、正式なる“イース女帝帝国”が建設されるのであった。




 のち西暦3921年……、ついに“イース帝国”は、この銀河宇宙に“14万4000”なる生存可能な“植民惑星”を持つに至るのであった。

 次に、“イース帝国”が
“植民惑星”とすることが出来た“知的生命体原星民居住惑星”の、その年代。
 そして、その惑星の“原星民”、
“スレイブ”及び“家畜人”たる、“異星の種族”等を述べる……。

“シリウス第11番惑星及び12番惑星・2215年、グラウコス・ユニコーン・ヒューマノイド及びシリアン・スペリオル”。“アルファーケンタウリ第4惑星・1986年、プテロ・カルドべス・スペリオル”。“アケルナ第3惑星・2015、バルカン・ホモ・サピエンス”。“ミラ第5惑星・2227年、タオ・ポリププテルズ・スペリオル”。“ポーラリス第12番惑星・2476年、カリスト・ヒューマノイド”。“アルゴル第2惑星、2226、ゴルゴン・オピウス・スペリオル”。“アルデバラン第8及び24番惑星・2102、イーオケス・ギガント・ヒューマノイド及びエリスロ・サウリア・ヒューマノイド”。“リゲル第7惑星・3008年、ソード・サピエンスソイド”。“カペラ第11番惑星及び13番惑星・2230年、ソルピグミー・サピエンス及びタイタノマニア・ヒューマノイド”。“ベテルギウス第34番惑星・2389年、ポイニクス・ヒューマノイド”。“カノープス第4及び5番惑星・3765及び6年、メルセイアン・ヒューマノイド”“ベガ第5番惑星スペリオルド・べガン”。“バーナード第2惑星・2190・スペリオルド・メデュッサン”。“雄羊座α第2惑星・リシアン・ヒューマノイド”。“スピカ第4惑星・2400年、スペリオルド・シンラス”“プロキシマケンタウリ第24番惑星・2212年、ガルニッシー・スペリオル”……
 なおここに整列する順番は、イース人及び奴隷、家畜人の総勢人口密度の多いものから記される。……



太陽系第3惑星地球・2222年、シミアス・サピエンス・ヒューマノイド・ヤプー”。
 クララは地球が“植民惑星”の一つに入っていた事を、レファランサーから聞き取ると、ぼそぼそと独り言を言った。
「すると、西暦23世紀の始めには、もう既に“日本人”は、“人間”として、“白人”達から見捨てられてしまっていた訳ね……。かくして、母なる“地球”もまた、“イース帝国”の“植民惑星の1つ”と、成り得た……。」

《ちなみに、“EHS(イース)”とは、英語の“ザ エンパイアー ハンドレッド サンズ(100の太陽王国)”との訳である。》

 そしてまた、クララはぼそりと言った。
「たった“13万”の人類から統治を始めた、“100億の太陽王国”“14万4000千の惑星連合”。凄いわ!!!」


 ちなみに、「旧約聖書外伝・タルムード」には、「リリスは1日に1500の子供を生み出した。」とある。それは正に“リリスの帝国”そのものであった……。

原文・2001年2月3日。絵・文の写し・2003年9月6日製作。


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