○ACT2“真・家畜人ヤプー・リリスの帝国編”第37話、第38話○
◎“真・家畜人ヤプー・リリスの帝国編”第37話”◎
◎ΦΩΡΗΝ ε´(ポーリーン ペンテ・女神ポーリーン記5)◎
西暦3970年。ヤプー歴1748年。6月15日。
シリウス星系・第4惑星。アベルデーンの首都。ここにポーリーン侯爵の、邸宅兼オフィスがあった。
そして、今職務中のポーリーンの所へ、1人の執事が入って来て言った。
「ポーリーンさま。お母さま、卿(レディ)アデラインさまからの御入電でござます。」
ポーリーン「何だ??! 今。仕事中だ!!!! まあ……、いいか。ママからのものだったら……。うん。内容は何だ??! 執事。」
執事はイース人の平民だが、やはりアングロサクソンらしき女性である。
執事は、ポーリーンの仕事の私室に入って来ると、直径10センチ位の、丸い一枚のディスクを、ポーリーンに手渡した。
ポーリーンは、そのディスクを、机の上にある、小型の卓上機械の上にすっと置いた。
すると間もなく、ディスクは機械の上でぐるぐると回り出し、卿アデラインの1/12スケールの立体像がディスク上に現れた。
像は、にこやかにポーリーンの微笑みかけながら、喋り出した。
「ポーリーン。私の可愛い娘よ……。貴方も、もう30歳になる“ファーストレディ”なのだから、そろそろ“ハレム(男妾の城)”をもちなさいよ。“良い男”がいるのよ。平民だけど、年齢は27歳。
ミッドガルド星のエンジニアだけれど、当然童貞(ヴァージン)。器量が凄く良いの。その子、大統領(女性である)からの推薦状付きよ!!!!
“金髪で青眼”。“純粋なノルディック系”よ。健康で、IQも172で高いわ。“金髪”男性が減って来ている昨今。“金髪”はもう貴族の血の中でしか、あまり見られなくなって来ている。
ポーリーン。イースの未来のために、一人でも多くの“金髪子息”を残して頂戴な。
そうそう、彼の写真も送るわ。
彼の名は“ポール・アンダーソン”よ……。」と、
母の映像が消えると同時に。男の姿が、続いて。ディスク上に現れた。中肉やや細身。
腰まで延ばして切りそろえた、長い銀色に近い金髪。綺麗な青い瞳。真っ白の肌……。
起立した超美青年たる男の姿が、ディスクの上でゆっくりと回転している。
ポーリーンは、映像を見ると、ため息を付きながら独り言を言った。
「まあ。綺麗な子。うちの“ボブ(ポーリーンの男妻・ロバート)”より綺麗だわ。……“童貞”を身請けする以上。責任を持って囲ってやらなければ……。
味見だけして棄おりだした(イースでは、女には男と初夜を経験した後、気に入らなければ離婚する権利がある。男の初婚は最も値打ちが高い。)んじゃ、その子の“人生”に“傷”が付くわ。
私に、好きでもない男を“妾”にしろってママは言うの??! ママはなぜ、そんなにしてまで“金髪の温存”にこだわるのかしらね……。
そんなにこだわるのなら、“金髪男性”も、“ヤプーや緑隷たち”みたいに、“クローン”か“コピー”にでもしたらいいのよ。あ”ー。嫌だ、嫌だ。」
ポーリーンは、ディスクを執事に手渡しながら言った。
「これ。ママに返しといて……。返事は“お断り”だって言っておいてね。
私は、ボブ(正妻)から、まだ“長子”も授かっていないのだから……。それに私は、まだ半年前に結婚したばかりよ!!!! ほんとに、嫌になっちゃうわよ!!!! あとで、私からも直接ママの官邸に今日中にホットラインで送って言っといてね……。」
イースでの、ある“女権利社会”の、一場面である……。
確かにイースの“金髪族”の数は、時が経ち“混血”が進むにつれ、“激減の一途”をたどっている。
ちなみに、ポーリーンも、その母アデラインも、こという“金髪”である。
ある意味では“金髪”は、“イース貴族”の一種の“象徴”とまでにも、なりつつある昨今の風潮である……。
また“女権社会イース”では。“男”は、例え貴族でも。“ハレム”は、持てないシステムとなっている。
ちなみに、ジャンセン家のポーリーンの母。アデラインは。“イース帝国”の“副大統領”。ポーリーン自身は、“カルー本星”の“地区検事長”を勤めている。
この事件の後。当のポーリーンは、1ヶ月後にして、“妻・ロバート”との間に、始めての子、“長子”を、愛でたくも懐妊することにるのだった……。
◎“真・家畜人ヤプー・リリスの帝国編”第38話”◎
◎ΙΑΠΩΥΜ(ヤプム・ヤプムの書)◎
西暦3970年 ヤプー歴1748年 8月15日。
インカの上空都市から来た少女。彼女の年齢は若干18歳であった。
彼女は、紀元前7001年の地球の過去から、ここ紀元3970年のシリウス星系・アベルデーンのポーリーン邸宅にいた。
彼女は、皮膚強化加工(ハイパノ・ダーマ・プレス)を済ませ。金の首輪を嵌められると、ここ、彼女にあてがわれた個室に全裸のまま、横たわっていた。
いわば彼女はヤプム(子宮畜)である。それ故に、皮膚強化の他に、身体の中に潜む、身体に害を及ぼす“人種的生物性疾患(線虫、鞭中、梅毒など)”の全ての“バイ菌”“寄生虫”の類いは、全て除去され。今ではすっかり健康そのもののの状態に置かれている。
ちなみにここ。未来世界の白人種、おもにイギリス人たちを主体とした“イース帝国”。
この国においては、もう女性は自力では、習慣的に“子供”を産まなくなっていた。
彼女らには、子供を産む機能は十分備わっているのだが、そこには一つの理由があった。
かの昔。ここシリウス星系に、9つ目の“恒星系植民惑星”を持つに至った“イース帝国”が、成り立った西暦2215年頃は。まだイースの全人口は“100万人”にも達してはいなかった。
そこで考えられたのは“ヤプム”の使用である。
特に、イース人女性の“排卵回数”は、年間12回から15回に及ぶが、女性本人が、自力で1年間に出産出来る人数はたった1人が関の山である……。
当時のイース人女性の平均寿命は、ほぼ200歳。それゆえに、1人の女性が、生涯を通して出産出来る人数はたかが知れている。
それに出産には、いちぢるしく女性の体力を消耗する原因にもなる……。
前2230年以降。“ヤプー”を“代理子宮”に使う、システムが使用された。
それらを“ヤプム(子宮畜)”と言い。これを使用することによって、女性は最大年間にして15人の“新生児”を手に入れることが出来たのである。
現在。西暦3970年において、平均年齢は、800歳を数え“イースの全人口”は約“100億”に達している。
現在のイース人の“人口”が、おおよそ“ヤプムの功績”に支えられていることは、否定出来ない事実であった。
こと40世紀現在において、人口を、以前の時代程。無理矢理に急激に増やす必要が無くなってしまった昨今……。“ヤプム”は、その頃の“習慣”のみが未だ残っているだけで。
現在において、男性が家庭の中にこもり、逆に女性が男性に変わって働く時代が到来してからは。
“ヤプム”は、イースでは、また“別の意味”での恩恵を受けるに至った。
それは働く“イース女性”たちの“勤務時間の確保”である。
しかし“ヤプム”は決して、“安値”なものではないし。“胎芽(妊娠2ヶ月半までの赤ん坊)”の“子宮着床”から、“出産”までの“ヤプムの飼育管理”が大変であるので、低級平民たちにとっては、ある種“高嶺の花”でもある。
また万が一、ヤプムの“子宮着床”が巧くいかなかったり、ヤプム自体が“疾患”を患う場合もあって。
平民たちは現在において、時々に避妊を要し“子”をあまり産まない傾向になってきている。
それゆえに現在では。貴族……など。その他金持ちの家庭は、往々にして“子宝”に恵まれる傾向にあり。また、女性にのみ“ハレム(男妾の城)”を持つ特権があるのも、“女性”が本来、“子供を産む”という、意志の“有無的権利”がある所から来ているし。
ましてや“ヤプム”の“収得・飼育能力”は、“余裕”のある“家庭”にのみ“可能な特権”でもあるのだ。
ちなみに現在。科学技術が発展を遂げ、特に“力仕事”を必要としなくなってしまった“イース男性”たちが、成すべき事は。“種付け”と、家庭を守るべく“男主婦”たるものの、社会的地位のみである。
また、男の“イース”での価値評価は。生殖能力。美貌。健康。そして才能のみである。
つまり、腕力や体力はあまり、“男の評価”に値せず。第1にまず“生殖能力”が問われ、第2に美貌や、しとやかさが問われる。
それゆえ、イースの男性たちは。ここ2000年もの間に、自然に“自己の美”を愛でて。着飾り、化粧をし、話術や美しい仕草に“翻弄されること”を“美徳”と覚えるようになって行った……。
それがゆえに事実。“イース”は実に、“怪奇なる”世界になり得た……。
ヤプム“カヨ”は。全裸の上、処女であった。イースでは“処女のヤプム”を“最上級”のものと考える。カヨの身体は現在。いつでも、ポーリーンの子宮から取り出した“胎芽”が“着床妊娠可能状態”であるようにしてあった。
カヨは、いわば古代人である。
彼女にとっては、イース世界に単身独りで連れて来られて、見るもの聞くもの全てが、珍しかった。
カヨは現在。見知らぬ世界の見知らぬ部屋の一角に住まわされていた。
桟の無い大窓が開かれていた。柔らかいピンクのカーテン。広いベランダ。
ベランダの外は、今まで見た事も聞いたことも無いような、不思議な花々が咲き乱れていた。
遠くの方へ眼をこらすと、白神たちが住まう、背の高い白いビル群が立ち並ぶ。
室内の壁は一面、花畑の絵に飾られている。
綺麗なドレッサーや、音楽の出る浴槽。肉セッチンにスピツーンに、倭人ヤプーたち。
身の回り一式の世話をしてくれる、緑の髪を持った少女たち……。
彼女が横たわるベッドは、いままでのどんなベッドに横たわっていた時よりも心地よかった。
ふわふわのクッション。適度に温かいペッド。ベッドの表面はつるつるすべすべとして心地よい。
間もなくすると、独りの若々しい男性が、カヨのそばに歩いてやって来た。
部屋一面に、どこからか、静かなる柔らかい音楽が響きわたり、良い花の匂いがする。
男は、見た所22歳位の身長1メートル75センチ程度の白人……。全裸。純白な程の白い肌。高い鼻。精悍で優しそうなマスク。輝く銀色の髪に、赤い瞳。よく見ると、背中に大きな1対の青い翼を生やしていた。
彼は、どうやらカヨのいる奥の部屋から出て来たような気配だった。
カヨが言った。
「ケッアトル・コアトルさま……??!」
男が答えた。
「窓の外を見てごらん。ここは“ケッアトル・コアトル(白い神)”に国だよ。たくさんの僕の身内たちが住んでいる。私の名は“ククルカン”と言う。“青い柱”の守護神だよ。そして“知恵の神”だ。君が僕の新しい“妻”だね。」
カヨ「私は、この世に産まれ出るずっと以前から“神様の妻”になることを、祈って参りました。念願がかなって私は今、天上界にいまし、心から感激しております。ククルカンさま。どうか私をお召し下さい。」
ククルカン「私は、普段は“青い蛇の姿”をしているが。君と“愛を交わす”ために、人の姿になって、君の前に現れた。君は、今から“ケッアトル・コアトル”の“子”を、お腹に“宿す”ことになる。“心の準備”は出来ているね……。」
ククルカンと名乗る男は、カヨのベッドの隣に座り込むと。カヨと共にベッドの上に横になり、ククルカンはカヨの背中にゆっくりと手を回しつつ、カヨの唇にそっと口づけをしてみた。
ククルカンの真青な翼が、2人の身体を覆い隠す。
鳥人伝説のある国、インカ。
男の姿は正しく鳥人に違いなかった。男の翼が、カヨの皮膚の感触に心地良かった。
ククルカンの愛撫はまるで蛇のようだ。全身をカヨの身体にこすりつけるようにうねる。
そして、時折。小鳥のように、カヨの柔らかい肌を愛撫する。
カヨの“ヤプム”としての“懐胎”は。これが一生に一度のことになるかもしれない。
カヨのエクスタシーが、最上のものに達し、子宮口を十分に開かせる配慮が必要だった。
それに、カヨが完全に満足出来るようにとの配慮からか、ククルカンと称する男とカヨの、優しい愛の仕様は、その後も数時間にも及ぶのだった。
嘘つき“アンドロイド”……。実名“キャノン・ダイシー形・アンドロイド”は。人間と同じ“思考と感情”を持つ、一種不思議なるアンドロイドである。
その“巧妙的頭脳”と“サービス精神”は、どんなタイプのアンドロイドにも、引けはとらない。
この、自称“ククルカン”と名乗る“男”こそは、実は“子宮着床用・アンドロイド”。その名も“キャノン・ダイシー3型”である。
今。こいつは懸命に、カヨの子宮への“胎芽”の“着床行為”を試みている。カヨは“処女”である……。
処女であるがゆえにか、全く彼がアンドロイドであることに気が付かず、しっりと行為に夢中で興じている。処女懐胎……。カヨの本当の相手は、男ではない……。
“キャノン型”は、皮膚も体温も、口腔内かに性器の生理そのものまで、全く人間そっくりに出来ていて。なおかつ、身体を構成する材質が“柔軟”に出来ているせいか、
かの映画“ターミネーター2”のごとくに、あらゆる生命体に“変身可能”な能力を持っている。
現在。“キャノン3”の下腹の中には“人工胎盤”と“着床作業用倭人”が、“胎芽”たる、ポーリーンの小さい“赤ちゃん”と共に、人工羊水の中にふんわりと浮きながら、今か今かと、そのタイミングを計っている。
倭人は、カヨの子宮口が開くと同時に。ポーリーンの“赤ちゃん”を抱いて、キャノンの男根の“亀頭の穴”から飛び出し。カヨの子宮口の中に、即座に飛び込むつもりである。
失敗は、カヨにとっての“女神(ケッアトル・コアトル)・ポーリーンの“赤ちゃん”の“死”につながる。
キャノンも着床倭人も、それはそれは真剣そのものである。
ただ、夢心地の“カヨ”……。しかし、時は運を天にまかすしか無かった……。
“白神”と言えど。祈るのであろうか……??!!
また。カヨは、自分の人生を“白神(ケッアトル・コアトル)たち”に、もて遊ばれていることにも気が付かないままに、ただアンドロイドとの甘美たる時間にふけるのであった。 2001'3'4'
○文献
★「家畜人ヤプー・中」沼正三著・太田出版
★「家畜人ヤプー・下」沼正三著・太田出版
原文・2001年3月4日。
2009年3月 アップロード。
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ACT2“真・家畜人ヤプー・リリスの帝国編”第37話、第38話
☆ΦΩΡΗΝ ε´(ポーリーン ペンテ・女神ポーリーン記5)☆
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