○ACT3“真・家畜人ヤプー・リリスの帝国編”第36話○

ACT3・8
第36話★ΦΩΡΗΝ δ´★
(ポーリーン テトラ・女神ポーリーン記4)



 西暦3970年。ヤプー歴1748年。9月15日。


「スクレイピットに代わりて詠める。

 つくはねに そがひにみゆる あしほやま あしかる とがも さねみえなくに。」
《蚤痒小畜(スクレイピット)に変わって詩を詠む……。

 ビィーナスの丘(陰阜)に立って前方を見ると、遥か彼方にでっかい両股が見える。本当は僕はここから一挙に、陰唇の割れ目も、クリトリスも、一度に傍観してみたいのだけれども……。》



「ドッグに代わりて詠める。

 みどりごの はひたもとほり あさよひに ねのみぞ あはなく きみなしにして。」
《畜人犬に変わって詩を詠む……。

 赤ん坊のように這い回って、僕は奴隷に鞭打たれ、毎日朝晩泣いている。なぜなら僕の側には、いつもいるはずの、愛する女主人が、いつの間にか、いなくなってしまっているのだもの……。》



「カニリンガに代はりて詠める。

 ももとせに おいじたいでて よよむとも あれはいとはじ こひはますとも。」
《舌人形(カニリンガ。グレイに似たヤプーで、舌がちんこ状になっ大人の玩具。)に変わって詩を詠む……。

 老い舌(クリトリス)の勃起力が弱まった、ご主人さまはもう、老齢でございますが。私は辟易(へきえき・しりごみすること)するどころか、ますますご主人さまを念慕い致しております。》




 そこで突然。宮廷抜粋検察官・ポーリーン侯爵が大声で言った。
「ここにお集りの皆さん!! 問題はこの文章にもあります!!!! これは“ヤプー族たち”の古代文書“万葉集”からの抜粋文であります!!!! このような文章を“イース国民”が使用することは、大変な国民的タブーであり“屈辱”なのであります!!!! 問題は、これらの文書を書き残した“原稿文”が“被告邸宅内”で見つかったことにあります!!!!」




 ここは、シリウス第4惑星・アベルデーンの“王立最高裁判所”である。

 ここでは今。急遽、初審における“民事裁判”が開かれ始まっていた。“原告”は“イース帝国女王のプリンセス(皇太女)”。“マーガレット王女”であり。今回裁判は、彼女のもとに編成された『王室特別法廷(クラウン・セッション)』であった。

 裁判席の後方正面に、さんぜんと輝く“イース帝国王家”の“家紋”の“一部”であり、また、当“王室特別法廷”の“象徴的エンブレム”。別名“ユニコーン・コート(一角獣法廷)”とも呼ばれる“大きな旗”が掛けられていた。

 旗の柄は、“後ろ足で立つユニコーン”である。

 ちなみに。元来の“英国王室の家紋”は、“向かい合うライオンとユニコーン”である。
 現在もこの“家紋”は、“イース宇宙帝国”の“象徴”として、掲げられているが、
 現在。各“植民太陽系の象徴”として、“テラ・ノヴァ星系”を“獅子紋”。“シリウス星系”を“ユニコーン”として、使用することもしている。



 今回。臨時に行われた“王室特別法廷”では、恐ろしいことに“クラウン・プリンセス(皇太女)”自身が“裁判長”を務め。弁護士は“卿キャムデン伯爵”という759歳になる老婆ではあるが、経験豊かな弁護士がついていた。


 ちなみに、“クラウン・ブリンセス・マーガレット”は。今年“成人式(イースでは、女性は“初潮”が始まった時を成人としている。ちなみにイース女性の初潮は大抵18歳くらいである。)”を終えたはかりの“18歳女性”であり。

 しかしもって、もっと恐ろしいことに“被害者”および“傍聴人”は全て“ピアレス(女性貴族)”たちであった……。


“被告”は、“ドリス・ジャンセン侯爵子息”の“恋人”で“将棋友達”。そしてまた、学習院(貴族の学校)時代の(学友)てもある、まだ年若き“リチャード・クロフォード準男爵”であった。

 ちなみに現在。ドリスには“双子の恋人”がおり、独りが“リチャード・クロフォード”であり、もう独りは“フランク・シュナイダー男爵”という青年男子がいた。




 この事件は、現在“イース世界”において、大々的に“マスコミ”に騒がれた事件となっていた。
 全ての新聞。全ての雑誌。そして、全てのテレビ、ラジオ、電脳アイテムメディアの“超特大記事”として至上をにぎわした。

 理由は。『万葉集 秘められた花々の図鑑』という、古代の魔の雑誌。「フォーカス」「フライデー」「エンマ」などもまっつ青になる程の“出版物”が、ここ“アベルデーン”を発信地として“イース市場”に出回ったのだ!!!!

 それはもう、20世紀のイギリス王室。“プリンセス・ダイアナ”の傍観写真を撮って問題になったという“パパラッチ事件”所の騒ぎではない!!!!

“王室女性”を含んだ、イース帝国の全貴族。一万家族、500万人のうち“全星系的特別権原”を誇る300家の中から、アットランダムに120人の“貴婦人”を抜粋し。

“秘所”の“超立体動画映像”で載せた、超極まる秘本“怪奇グラビア誌”であった。

 それは“200ページ”にのぼる出版物で。開くと“カラー映像”が、紙面から飛び出て“秘所”の写真が、おもむろに展開するもので。
 内容は、全身ヌード写真もあれば、半セミヌードもあるが、全ての登場事物たちはいちおうにして“秘所”が写っているのだ。

 また動画であるので、“ご開写真”もあれば、そよぐ風になびく“陰毛写真”も写っている。
 中には“パイパン(無毛)貴婦人”の写真の写って載っていて、穴の中の奥まで見えてしまっていて、特に気の毒である……。

 そして最近……。18歳の成人を迎えたドリスも、実は“被害者”の独りであった……。



 ドリスは思った。
『こんなもの。いつ、どこで撮られた写真なのだろう……?!!』

 同じように、今年18歳になったばかりの原告。“クラウン・プリンセス・マーガレット”は。もう、無茶苦茶になって、怒り狂っている様子である。

 実は。彼女自身が“激写”された訳ではないが。彼女のわが母。“クイーン・クリスチーナ5世”の“秘所”が、おもむろに写っていたのである……。


 ちなみに、ポーリーンは被害者では無かった。

 実の所……。被害者は“120名”にのぼるが、“原告人数”は、以外に少なく“数十人程度”であった事は、何ゆえにか以外であった……。

 原告の中には、例の“パイパン貴婦人”を入れて、真時に。“ドリス・ジャンセン”“アンナ・オヒルマン侯爵”や“クロノス長官”も混じっていた。



 今回はなぜ“リチャード・クロフォード準男爵”が、“容疑者”に上がったのか??!
 理由がある。

 それは彼の友人、“フランク・シュナイダー男爵”からの直接警視庁への“ちくり”があったのである。
「某出版物は“リック”が編集出版したものである!!!!」と、

“理由”は、“某出版物「秘められた花々の図鑑」”の冒頭に出て来る“万葉集の歌詞”が、“リチャード・クロフォード”のものである!!!! との事で、また、自分がこの“書物”を出版するに至って“手伝わされた!!!!”と言うものであった。


 そしてまた。当“事件の裁判”について、原告団員数が少なかったことには、理由があった。
 第一に“イース貴族たち”は。と、言うよりは、現在の“イース人”社会において、“性的”な“タブー”が、20世紀以前に比べて遥かに無くなってしまっている所に原因があった。

 つまり、“イース女性”は。“恥知らず”を“美徳”とする、人種たちとも言えよう。


 第2に。男を独りも知らぬ、おぼこい乙女や。自分を“神聖なる処女”と自慢する女……。女を既に喪失した老女……。超田舎の“ど超封権的”古典的社会の中で育った無知蒙昧な“貴族”でもなければ、このような程度の問題など、気にする人物などむしろ“珍しい”のてある。

 あの耽美的出版物が。純潔秩序を重んずる、あの王室の“プリンセス”と。“聖処女・アンナ”の怒りを買ってしまったのが、唯一の“失敗”だったとも言えよう……。

 ちなみに、この程度の“ヘアヌード”の本は、大抵は“レズビアン女性向け”の出版物で、なおかつ“プレブス(平民)”の“女性がモデル”の物が一般的に多い。

 しかし“イース”では、実際には“完全女権社会”であるので、むしろ、おしとやかであるべく“男性の秘部写真”の方が、遥かに“社会的問題性”が高いはずであった。
 しかしもって、今回のモデルたちは“イース帝国”での“絶対権力者たち”とも言える“ピアレス(書生貴族)たち”である。
 世間での、評判。関心事も絶対的に高かった。



 被害者、アンナが大声を上げて激怒した
「こんな“悲惨物”を出版する奴は!!!!“ヤクソマ(ダイダロス・永久地獄)”に棄り込んでしまえ!!」。

 ちなみに“ヤクソマ”に棄おり込まれると。その人物の時間は止まってしまい、生きたまま永遠に外の世界に出られなくなるのだ。
“魔のブラック・ルーム”とも言えよう。

 ちなみに彼女の、直属の部下だった“オークニ氏(のちに、神道のオオクニヌシノミコトと言われる人)”が、既に彼女の一存のみで“ヤクソマ”に、棄おり込まれている……。



 アンナの“犯罪者”となすべきは“ヤクソマ2号”となるであろう。


 クロノス長官も怒って、静かに言った。
「“秘所”は、“想像”する所に“性の快楽”があるのだ……。見せてしまったら、何の“意味”も無くなる……。特に、私の秘所だけは、門外不出にしておきたかった……。」

 原告団の中には、“レズビアン愛好家”の貴婦人もいたし。中には“超男嫌い”もいた。
 ようするに、十数人の原告たちは、大抵は“変わり者”で通っている人物たちばかりである。

 ドリスは、一応原告団には入っていたが、事実容疑者には何の恨みも無い。ただまだ“処女”で、自身も知らぬ、読者たる男どもに何と無く“秘所”を見られるのが、嫌だったのだ。

 20世紀には“肖像権の侵害”という、重い“罪”がある。
 この“イース”にも、一応そういう罪があるが、大抵は“上の顔”とか、“名目”に対しての“審議”である。


“秘所”の出版物が“世に出た”とて、大抵本気で怒る人間などはいない。たた、この書物については、“ベストセラー”になってしまった以上。“肖像権無断使用料”として、“売り上げ”に対する“パテント料”位は欲しいものである……。



“クィーン・クリスチーナ5世”は。今回の事件については“笑って”いた。
 そして、ポーリーンも実の所“笑って”しまっていた……。

 しかし、法律は法律。社会的秩序は秩序である。
“原告”が、いる以上“犯罪”は“犯罪”である。

 まんじりとみれば。辺境惑星・地球の、古代“男性権威社会”にて、その半生以上を過ごしてしまった、気の毒な“クロノス長官”が……。原告団被害者席に座ったまま、悔しそうにどうどうと涙を流していた。

 それを見た限りは、やはり“秘所公開”の事件問題は、黙ってはいれないのである……。

 アンナ総督とクロノス長官は。地球での“タイムパトロール”を労いにしているせいか、意見が合った。
 クロノス長官が「私は“夢”を踏みにじられた。」と言って悔しがり。
 アンナは「いちいち“犯罪”に“裁判”など、必要無かろう。」と言って怒った。

 しかし、大多数の“貴婦人たち”は、“恥”に対して感受性が無いか、あるいわ自分が載った本が“ベストセラー”になった事に対して、むしろ“自慢げ”に“喜んで”いるのも真実である。



 裁判官“クラウン・プリンセス・マーガレット”が、言った。
「私たちイースにとって。“ヤプー”と同等の“詩を歌う”など、“言語道断”である!!!! したがって、この容疑者を、詩の“歌詞”のごとくに“スクレイピット”にしてやるのが良かろうかと思う!!!! 
 今回の裁判に、被告の“弁護士”に何か、反論があるか??!!」

 弁護士のキャムデン伯爵が言った。
「その詩は、自身が“ヤプー”になりきる事で、“女性美”を歌った内容であります。悪い詩とは限りません!!!! それに、原稿文が被告邸宅から出たとは言え、それだけでは“証拠”とは言えません!!!!
 被告には、共に同居する人物が他に数人おります。」


 検察官ポーリーンが言った。
「不思議なことに、被告者の秘所写真集には。被告“リチャード”の、知り合いの“貴婦人”ばかりが、妙に多く記載されておりますが……。これはどういう事でしょう??!! 犯人は、リチャードの身の回りにおりそうですねえ。

 被告の自宅からは“超性能水中カメラ”が出て来ましたが、それを使っての記載物を制作する事は、実際可能てあります。
 しかし。それだけでは、実況証拠のみで、証拠には欠けますねえ……。」


 検察官としては、妙に攻撃性の無い発言である……。

 ポーリーンは、そこで、何が言いたげに、弁護士の目をまんじりと見つめた。




 そこで、弁護士のキャムデン伯爵は“はっ!”として気が付いた。
「そうですっ!!!!“真犯人”がおりますっ!!!! 被告は犯罪者ではありませんっ!!!! 私は、検察官・卿ポーリーンと共に“タイム・スコープ(時空探索機)”を見せてもらいました!!!! しかし、当事件についての“審査”をいくら進めて行っても、必ず事件の真相に迫ろうとすると“機能停止”が起こるのです!!!!“タイム・スコープ”の情報はすべて、当惑星・アベルデーンの“マザー・ヤパマトロン(中央・有魂電子計算機)”に記憶され処理されます!!!!
 しかし、審判は不能でした!!!! それゆえ、当事件の真相は皆無なのです!!!!

 では。なぜ“ヤパマトロン”のように“スーパ・コンピューター”が、機能停止などをするのでしょうか??!! そんなことがあり得るのでしょうか??!! これは“真実無根の陰謀”です!!!!」

 法廷の内部がざわついた。確かにその通りである……。

 大抵の“真理”は、過去を見抜く“タイム・スコープ”を覗けば、“犯人”は解る。



 しかし。それを総合管理すべく、100の太陽系を持つ“大英宇宙帝国・イース”の、中央コンピューター。
“マザー・ヤパマトロン”の機能が都合良く、一つの犯罪に関してのみ、その時々に応じて“機能停止”をするなどあり得ないはずである!!!!

 有り得る答えは2つ。“故意”による“証拠隠滅”か??!! それとも“故障”か??!! 誰もが“故障”とは考えたくは無かった。

 コンピューターが機能停止をするなど、それ事態が“大問題”である!!!!
“証拠隠滅工作”をした者がいるとすれば、そいつが“真犯人”に違い無い!!!!


 プリンセス・マーガレットは、そこではっとして、気が付いた。
『私は、証言者の“フランク・シュタイナー男爵”のみの、証言ばかりを信じ込んでいた!!!! そうだわ!!!! 犯罪はまず始めに“タイム・スコープ”を覗かなければ!!!! じやあ??!!“犯罪者”は“フランク・シュナイダー”である“可能性”もある訳ね??!!』


 裁判官、プリンセス・マーガレットは、裁判官のテーブルの上を、トンカチでばこばこ叩きながら言った。
「当法廷は、宮廷っ!!!!“マザーコンピューター・ヤパマトロン”の“タイム・スコープ”の“点検”が先だわ!!!! 続きは“明日っ!!!!” 同時間にて開廷致しますっ!!!!」



 間もなく若干1歳の“クラウン・プリンセス・マーガレット”からの“指名検察官・ポーリーン”が、ほーっと、ためいきを付いた。

 このままで、“毎度のこと”ながら、“学級裁判”のつもりで、プリンセスが貴族法廷の“最高裁判”をやらかしたのでは、被告は必ず“有罪”になろう……。

 ポーリーンも、“最高検察官”として“閣下”からの直々に“指名”をされていたのでは、断わりようも無かった。むしろそれは“名誉”な事でもあった……。

 しかし。“無実の人間”を“犯罪者”にしたてる訳にはいかない……。



 実は。ポーリーンの職場に直属する“タイム・スコープ”も、それにつながる“マザーコンピューター”も実は、“故障”も“証拠隠滅工作”も最初からされてはいなかった。

 そう弁護士に“言わせれば”。“プリンセス”は、自分から納得して、みずから“タイム・スコープ”を覗き見ることであろうから……。

 ポーリーンは、若干759歳の弁護士“卿キャムデン”に、ある“有魂端子・バグヤプー”の力を借りて、わざと映像の一部を塞いで“閲覧”させたのだ。


 ちなみに“有魂端子・バグヤプー”とは何か??!!

 実は、カルー星の地区検察官の長官をしている、ポーリーンが。直接あの“キャノン・ダイシー3”を造った“アクリス社”の“天才科学者”。“卿ジュリアン・バコール侯爵夫人(男)”に制作を依頼し。“女王さまから特別公認認可”の上で、手に入れた。言わば“倭人サイボーグ”である。

 ちなみに、ここ“シリウス圏”の“首都・アベルデーン”の“マザー・ヤパマトロン(中央・有魂電子計算機)”は、一種の“倭人ヤプー”を積み込んだ“意識共同体”である。

 いわば、ヤパマトロンは“半機械半意識体・コンピューターシステム”と言うべきか。
 大きさ、わずか7センチ5ミリ足らずの“末端”となるべき“半機械体”の“倭人ヤプー”たちが“100万匹”近く集まり、巨大なキューブ会社を組織している“総合機密システム”である。


 ではなぜ、“完全機械”で無ければならない、電子計算機が“半機械体・倭人ヤプー”であるのか??!! 理由は“故障による自己修復”と“新規のソフトウエアの開発”が、即座に、人間の手を煩わせる事無く、スムーズに運ばせるためである。

 彼らは、終始一貫して新陳代謝の必要の無い、身体を持ちながら。ただひとつの目的だけをこなすように仕込まれている。
 その本体は、無数の“電子計算機”と“倭人の能”との“ハイブリット(複合体)”である。


“倭人端子・バクヤプー”は、“一時的”に一部の電子箇所を“麻痺”させ。“主人”にとって、都合の良いように“自動制御”を行わせる“すぐれもの”の“倭人・サイボーグ”である。

 その容姿は他の“端子”たちと全く変わらず、その上。何の“違和感”もなく“集合体”に入り込み。
“マザー・ヤパマトロン”までおも“思考工作”させることが出来るのである。



 彼の名を“ブルー”と言った。
 その名は制作者“ジュリアン公爵夫人(男)”の命名である。



 ちなみにここ“イース”では、実は。検察官と裁判官。タイムパトロール官。学級裁判の教授のみに“タイム・スコープ”を覗く権利がある。
“権利”と言うよりは“権威”か……。

 女王陛下の娘。クラウン・プリンセスが覗くのであれば、それはそれは、全くもって“フリーパス”である。

 ここイースでは。“検察官”として、“被告”を“有罪”に出来なければ、検察官としての“権威”が疑われる……。
 それがゆえに非常にやりにくい職業でもあるのだった。



 ちなみにポーリーンは、実は“真犯人”をこの“ユニコーン・コート(法廷裁判)”に入る前からすでに知っていた。実は、“フランク・シュナイダー”である。

 彼は、どうやら、ドリスの恋敵。“リチャード・クロフォード”を、プリンセスの怒りと無知を利用し、古典的なる裁判の方法で、犯罪者に落し込みたかったようである……。


 宮廷の現場……。
 ふと、ポーリーンが“証言席”の方を見ると、
 まんじりと憎しみの感情を溜め込みながら、真犯人たる“フランク”が“ポーリーン”の方を睨みつけていた。

『怖い……!!!!“男の嫉妬”とは、このように恐ろしいものなのか……。』
 そう思うと、ポーリーンの背筋が、一瞬、凍り付くのだった……。



 男権社会では、女の嫉妬は恐ろしいが。女権社会では、男の嫉妬が恐ろしい……。
 多分。これは、非常に生物的な“自然の摂理”に違いなかろう。





 明くる日。
 被告“リチャード・クロフォード”は無罪となり。
 真犯人は“フランク・シュナイダー男爵”であることに、決定づけられ。

 彼の罪状は、“プライベートの侵害”“肖像権の侵害”“偽装工作”とされた……。

 彼への“罰”は。“ヤプー同然”に縮小され“20年間”の間に、被害者の貴婦人たち“120人”の“スクレイピット(蚤痒倭人)”となって“服役”すること……。
 つまり、1年間に6人の“被害者”の邸宅で“ペット”となるのである。


 ちなみに“スクレイピット”とは何か??!!

 主人の“秘所”を噛んで、あるべく所を“痒く”するという、奇妙なる“ヤプー”である。
 身長7,5センチ。その容姿たるや“ノミ”のようである。丈夫で体力がもの凄く有り、長くて大きな足で、よく宙を飛び跳ねる。

 これも、いわゆる所の“イース人”が愛でる、奇妙なる“大人の玩具”の一つである。

 感じやすい“所”を“痒く”する……。

 ちなみに、一度噛ませた所は、1時間程度でかゆみは治まってしまうが。掻いているときの“爽快感”と、掻いた後の感覚がすこぶる“心地よい”……。とのことで、この“矮小物”は“人気”があるのである。
 そして、心地よく掻いたあとは皮膚表面の“一皮薄利”し、“炎症の後”も掻いたあとも待った残らないという“優れもの”の“指向性物商品”である。

 これは“イースの現代”において、もうすでに煙草やガムを忘れられてしまった。“イース人たち”の、煙草代わりの“アイテム”であった……。

 なんとみっとむない……。なんと恥ずかしい……。



 間もなくして、フランクはしぶしぶ“スクレイピットの刑20年”に服役した。

 肌の白い白人貴族が“ヤプー族”になって“服役”する……。それはそれは“滅多に無い”事実である。《珍しい者好きで、性格的にお暇な。》“被害者たち”“120人の貴族婦人たち”が、手を叩いて喜んだことは、ほぼ間違いないことであった……。


 フランクは悲しんだ……。
 特に、あの“原告十数人”たちが“特別怖かった”……。
『“女”という、生き物たちは、想像も付かぬ“残酷なこと”でも、してしまいかねない種族である。例え自分が貴族とて、イースの女性は“天人様”“山の神様”である……。』


 しかし“フランク”は、驚く事に“服役”を始めて間もなくして“ヤプー”になる“快楽の味”を覚えてしまった……。女の“秘所”を噛む“快感”……。そして、自分が“倭人ヤプー”の姿に“変身”させられてしまったがゆえにか……。自分自身が噛んだ、その女の秘所から、めくれて剥離する薄皮の味の“美味しいこと”……。
「それも代わる代わる、“120人”の女の“秘所”ばかりを!!!! たらい回しに……!! う、嬉しい!!!!“スクレイピット”は、僕の“天職”だったのだ!!!!」

 フランクの“目からうろこ”がこぼれ出た。

 そして涙も出た。
『僕は、なぜ、たった独りの“女”の“独占”に、固執していたのだろう!!!!“恥”を忘れれば“快楽”に堕ちる!!!!“貴族”が何だ!!!!“男”の奥ゆかしさが何だ!!!!“ドワーフ(男爵)”が“ドゥオーフ(侏儒)”になったぞ!!!!』





 フランクは服役を始めて、間もなくしてつい、言葉を口に出して言ってしまった。
「ポーリーン検察官さま!!!! 有り難う!!!!」

 フランクは、“20年間の服役”後も。
 また『“スクレイピット”になりたい!!!!』
 と、思ってしまうのであった……。 2001'3'9'


追記・20年後の今日も、未だ“独身ドリス”は、いつものように、コルモランの背に跨がって、己がジャンセン家の敷地内を失踪しているのであった……。



原文・2001年。
2011年9月 アップロード。





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