○ACT2“真・家畜人ヤプー・リリスの帝国編”第29話、第30話○


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ACT3・3
★第29話★ΡΙΝ ΚΑΙ ΧΛΑΛΑ
(リン カイ クララ・リンと女神クララの書)★

★第30話★ΗΡΜΗΣ(ヘルメース・ヘルメスの書)★




◎“真・家畜人ヤプー・リリスの帝国編”第29話”◎
◎ΡΙΝ ΚΑΙ ΧΛΑΛΑ
(リン カイ クララ・リンと女神クララの書)◎


 西暦3970年。 ヤプ−暦1748年。10月15日。

 


 それは、ポーリーン侯爵の新しい邸宅。水晶宮の落成パーティの後のことであった。

「リニチロ。貴男だけでも1969年の過去へ、お帰りなさい。」
 ふと鈴の鳴るような、綺麗なクララの声が、今クララが泊まっている新しき新居、
“水晶宮”の客間の個室内に響いた。

 クララの声は続いた。
「私はもう、過去へは還りたく無い……。私にはここにたくさんの“お友達”が出来たし、ここなら独りになっても自立して“生きてゆけ”そうな気がするの。リン。私は過去の地球に戻っても“嫌な記憶”ばかり……。両親とは死に別れて、過去の友人は貴男独り“リニチロ”だけだった。

 私の出生した邸宅は、もう既に壊されて、別の人達がそこへ住まっている。
“ベルリン”には壁が出来ていて、もう東側には戻れそうにもないわ……。」


 リンとの裸の付き合いのつもりだろうか……。クララは全裸姿のまま、リンと向かい合ってベッドの上に座っていた。


 今ではもう“ヤプ−”と化した“リン”である。リンは、素裸のままクララと向き合って、床の上に直に“ヤプ−座り(正座)”をしている。リンの裸の皮膚には現在、ハイパノダーマ・プレス加工が、施されているので、暑さや寒さ、少々の衝撃や痛みに対しても耐久的に出来ている。また、この加工によって汗をかかない体質になってしまっているで、リンの鼻息は“犬のよう” に荒くなることも多い。また、イースの人達が現在使っている“布製品”の全てに対しては、触れると酷い“痛み”が、感じられるように、されているらしい。

 リンはかつて一度、クララが座るベッドの隣に座った事があるが。それ以後、酷い痛みに捕われ。リンは決してクララのように、ソファやベッドに腰掛ける事は、しなくなってしまったのである。

 また、すでにリンの“股間”の“逸物”は、玉ごと無くなっていた。

 ちなみに現在リンの股間部には、逸物の代わりに、現在が4ヶ月程前に、クララとの“婚約指輪”の交換時に、クララからリンへ一度送った「永遠に汝なる者へ。」と書き彫った“指輪”がぴったり装着され。それに長く延びる鎖付きのグリップ(把っ手)か、ひっついている。

 これは、事実リンが2日前。狂気して“クララに乱暴”をしたときに、“逸物を離断”され。その後。『つるつるも寂しいから、』と股間あとにクララがリンを“犬”のように“護身畜”として連れ回すために、リンの“股間”に鎖付き“グリップ”を付けさせたものであった。
 なお、グリップは引けば延び。手放せば、リンの股間なすっぽりと縮んで入り込み、まるで現在の電気掃除機家電のコードの如く、瞬時にして戻る仕組みとなっている。


 黙ったままでいるリンの前に。クララは、リンの切り採られた逸物を、延ばして加工して作った、いつぞやの“鞭(珍棒)”を取り出して見せながら、続けた。

「貴方の“逸物”で作った、この、グリップ形の“鞭”は、貴方との記念のために、私が貰っておくわ……。でも、貴方が1969年のあの日に還るのなら、貴方の股間の逸物は“クローニング(遺伝子的複製)”が可能で、元通りに修復し直せるわ。それから、貴方のお腹の中にわいている“エンジン虫(アスカリス。猿人虫)”も、そうなれば下ろしてもらいましょうね。それから、貴方の変質強化させた皮膚も、昔の衣服にはまるで“痛み”は感じないらしいのですって……。イース製の布は、ほとんどのものが、美味しく食べられる素材で出来ていて、ヤプ−の皮膚にみに“激痛”があるように、反応する成分が混ぜてあるらしいわ。だから、貴方はぜんぜん“悲観的”にならなくても、十分あちらの世界で衣服を着て暮らせるそうよ……。」

 リンが、クララに寂しそうに答えた。
「僕は独りで“1969”年に還されるわけだね……。僕は“君無し”に生きてゆかなきゃならない訳だね……。」

クララ「貴方は、私を一度殺しかけた……。私にはその事がどうしても許せない……。だけど、貴方が私にとって“猿”にも等しい“ペット”だというのなら、許してやれないわけでも無い。だけど、貴方には“普通のヤプ−達”とは違って“人格”があるわ……。だからそれを、自分で決めて欲しいの……。1969年に還るか、それともここに残るか??!」


 リンの表情は瞬時笑顔になった。
「えっ?! だったら、クララと一緒に、ここに残ってもいいんだ?!」
クララ「その代わり、ここ“イースの世界”ではね、日本人は“ヤプ−”なのよ!!」

リン「僕は、クララさえ僕を側に置いておいてくれるのなら、このまま“猿”扱いで十分だよ!!“御免ねクララ”。僕もこの時代に残る!! 僕は本当に狂っていたんだ!! 僕は自分の“罪”の重さのために、どんな目に合わされたって、仕方が無いと思っているよ!!」

『りン。気の毒だわ。やはりまだリンには人としての“人格”が残っているのね……。』
 と、つぶやきながらも……、クララは内心少し嬉しかった。

 クララは、気の毒そうにリンに言った。
「貴方の家族や、日本の友達たちを、棄ててしまう事になるのよ。」
リン「構わない!!!!」

クララ「私は貴方を、今後生涯死ぬまで“ヤプ−”として、扱うわよ!!」
リン「狡獪ありません!!!!」

 クララは、ぼそりと言った。
「そうよね……。地球は“1999年”に、人類の“完全滅亡”を果たすのですものね。
 リンを“1969年”に還してやるのは、むしろ気の毒かもね……。」

 クララはしばらく黙り込み、間もなくしてもう一度くり返した。
「本当に“狡獪”は無いの?! リニチロ……?! 貴方には今日の落成パーティ前に、私の“下盃(小便)”を呑ませた。今度は“神嘗め(大便)”を食べさせるのよ。いいのかい?!」

リン「はいっ!! 依存はありませんっ!!!」
クララ「私は、“ウイリアム”と結婚をするつもりだけれど。お前は、それでもここに居たいのかい?!」

リン「はい。奥様!!」
クララ「じゃあ貴方は、ウイリアムへの“神嘗め”の“奉仕”も出来るのね?!」

 リンはむ、その回答にしばらく黙っていたが。間もなく、
「はい!! 出来ます!!」と、“きぱっ!”と言った。

クララ「じゃあ、貴方の額にも“ネアンデルタール・ハウント(家畜犬)”の“ニューマ”がしていたような、私の家の“家紋”を入れた“額紋(クエスト)”の“骨彫り(骨まで削って入れる、焼き印のようなもの)”をするわよ。そう……、私の家紋は“迎え獅子”だけど。」

リン「光栄です!! 伯爵閣下!!」
クララ「ふん!! 馬鹿ね!! 痛いわよ!! ……それに私は、貴方の舌を“家畜犬”並みに延ばして変型させたり、セッチンのように、口を形成したりするけれど。抵抗はある?!」

リン「いいえ。私は奥様の“ヤプ−”ですから!!」
クララ「いいのね。」

リン「はい!!!!」
 返事と同時に、正座をしているリン自身の背筋がしゃんと延びた!!

 クララは「じゃあ、これからも一緒ね……。」と嬉しそうにリンに一言言うと。
「じゃあ早速。アンナ侯爵に貰った“フォニー(仮男根)”で、貴方の“尻の穴”を、えぐらせてもらうわよ。ふふ♪ 床は嫌だから、お風呂場でさせてもらうわね。」

 今度の客間には、大きなジャグジー(室内風呂)が設えられていた。

 その後。リンは青ざめながらも、嬉しそうにしながら、クララに股間に付けられたグリップ付き鎖に引かれつつ、ジャグジーへ連れて行かれるのであった……。








○“真・家畜人ヤプー・リリスの帝国編”第30話”○
○ΗΡΜΗΣ(ヘルメース・ヘルメスの書)○

 西暦紀元前40年。ヤプ−暦紀元前2262年。
秋も暮れて、冬も近付く、ある日のこと……。



 ここは、エジプト王国・アレキサンドリアにある“クレオパトラ・フィロパトル7世”の霊廟。その霊廟の前に立ち尽くす、独りの麗人たる宦官の男が立っていた。歳の所は、まるで推定が不可能だった。そして、その男とも女ともつかぬ、その不思議かつ勇壮可憐な姿は。精悍なる乙女とも、美貌を讃えた若い好青年にも見えた。

 わずかばかり鬚があり、臑毛は無かった。細かくウェーブした漆黒の艶やかな髪を長く切り揃え、薄く灰色ががった白い肌に、青い瞳。彼は腰までの純白の腰布を巻き、長い黄金の帯びを締め、帯びの端を正面に長く垂らすようにしていた。また、肩と胸元を覆う大きな胸飾りには、黄金とラピス石で設えらていた。黄金の腕輪と、頭に2本の角が付いた黄金の冠を頂き。また黄金のサンダルも履いていた。


 彼の名は“ヘルメース・トリスメギストス”。エジプトのファラオ付きの医師。そして、家庭教師。そして、数々の学問に熟知した博士。彼の年齢はゆうに300歳は越えていた。

 彼はここ、古代エジプトの大地に産まれ出た。“神(イース貴族)の子孫”である。
 父の名は“ギリシャ・マケドニアの王・アレキサンダー大王”また母の名は、未来から来た・イース貴族。かつての王国“アトランティスの政治官”。“マイア・アストライアス伯爵”である……。

 彼は、未来に子孫を残すことを拒み、自ら“宦官”の地位にあった。

 彼の古代エジプトでの、社会地位は高く。ファラオ(王)に継ぐ“現神人”と称された。また彼は、当時の地中海、北アフリカから中近東にかけて、大変よく名の知られた、“大賢者”とされていた。

 大賢者……理由は簡単である。
 彼り持てる“知識”は。全て未来社会“イース”からの、伝授そのものであったのだから……。

 彼の功績は、現代においては余り知られてはいない。と、言うのも。
 彼は、生前2万4千にものぼる。当時のエジプトの技術と、彼の持てる知識の全てを、紙製“パピルスの文書”として残し。
 ここ、アレキサンドリアの“王立図書館”に収めたのだが。

 その後、ローマの政治官・シーザーが放火。中東の王が焼き討ち。その後のナイルの大反乱により。彼の書き残した“文書”のほとんどが、喪失してしまったのである。

 ちなみに現在では。彼の書き残した文書を、“ヘルメス文書”と呼ばれ。わずか一部が“キリスト教寺院”などに、残されているのみである。


“ヘルメス文書”は、いわば“オーパーツ”であったそうである。その内容は。
“科学”を始め。現代にも存在する、“医学”“物理”“幾何学”“数学”“薬学”“語学”“鉱物地学”“天文学”“哲学”の一般的な学問に加えられた“宇宙生物学”や“特殊物理”“航宙力学”“5次元”及び“6次元”の活用理論。“煉金”“化学”など……。それに加え。

 知識欲の旺盛だった彼は。当時“物質転換装置”“物質転送装置”。“意識転換装置”“タイム・ゲート”“スペース・ゲート”“夢共有システム”“思考探査装置”など。
 彼は、現在においてもまだ到底、造り出すことを不可能とする数々の発明品を。ここ“古代エジプト”の国内で造り上げた。


 そして当時。彼の発明品のほとんどは、彼の爺の叔母に当たる。未来のイース貴族。“タイムパトロール指令長官・イザベル・クローディア・クロニクルス侯爵”。別名“クロノス(時間)長官”に、“その管理下”に置かれた。理由は、“時空崩壊”や“パラドックス”の“変成”が起き無いようにとの配慮であった。

“ヘルメース・トリスメギストス”にも、実の爺の叔母“クロノス長官”の意思は、よく理解出来た。


 ヘルメースが、クレオパトラの霊廟の前に佇み。数分後のことである。ヘルメースの頭上に、オレンジ色に輝く丸い物体が、“無”から、霧のように出現したかのように現われると、注に一瞬ぴたりと止めると、滑るようにしてヘルメースのいる、下界に下りて来た。

 しばらくすると、オレンジ色の物体の一部が開き。
 全身、身体にピッタリしたレオタードようの、黒い服を身に付けた女性が独り、ヘルメースの眼の前に現われ出た。


 ヘルメースは嬉しそうに、女性に語りかけた。
「イザベルお祖母様……。お久しぶりです。」

 女は、あのイース人。タイムパトロール司令官。クロノス長官であった。



「丁度私。この上を飛んでいたものだから、つい寄ってみたのだけれど。ねえ。ヘルメース、クレオパトラの霊廟なんかで、何をしていたの??」

ヘルメース「お祖母様。私の造った、未来予知装置によれば。もうすぐ、エジプトは滅びます。エジプト最後の“ファラオ”は、悲惨にも“女神”です。」
イザベル「クレオパトラ7世ね……。彼女。まだ生きているでしょう?!」

ヘルメース「はい、生きています。でももうすぐその“女神”は、御隠れになられます。」
イザベル「“パァ(魂)”の“転生(リーン・インカネーション)”ね。ヘルメス……。
 彼女が死んだら、貴方。どうするつもり?!」

ヘルメース「私達の魂の母性“シリウス”へ、転生させてやります。あそこは、私達エジプト人が崇拝する“永遠”の楽園ですから……。」
イザベル「第6次元通路……。“スペース・ゲート”を利用して“魂”のみを、イースへ送ってやるのね。」

ヘルメース「はい。私はまだあの星へは行った事は無いのですが。あそこの“第4惑星”には、山羊の姿に似た“原星民”達が住んでいるみたいですから……。私は“クレオパトラ様の魂”を、そこの“女神”を司る聖者達の家系のひとつに、送り届けてあげます。」

イザベル「私は、今後に起こるであろう歴史的出来事を、もう何もかも知っているのよ。だって、私は“未来人”なのですもの……。ヘルメースや、御免ね。お前の言う通り、エジプトは“クレオパトラ7世”を最後に。“プトレマイオス王朝”は完全に“ローマ帝国”の支配権に治まってしまう……。





 知っていても私は何もしてあげられないわ。だって“歴史”は変えられないのよ……。お前の爺が愛した“古代エジプト”も、これで終わりね。……そう。確か貴方は“バルタザ−ル”という名の権威ある“博士”を知っているでしょう

 彼に、貴方の持つ“宗教哲学”を“教授”なさい。多分“彼”は、貴方の知識を晩年になってから、ある“ヘブライ(ユダヤ)人”の少年の“家庭教師”となるはずよ。
 彼は、大変な“カリスマ性を持った男となる!!!! 多分彼は、宗教世界においての“世界の王”と、なるでしょう……。

 これは、のちの時代。未来世界において、人類が生き残ってゆくための、ただ1つの“希望”となるでしょうね……。」

ヘルメース「そのヘブライ人の“少年”とは、誰です?!」
イザベル「平和と、救い、慰安の“守護者”です。彼は“神の使者”とも“神の小羊”とも、“アダムの再来”とも呼ばれる事でしょう……。」

ヘルメース「私達、“アトランティス”に住まっていた一部族。“スメール人”の末裔。
 エジプトの人達は。この先どうなるのですか?!」
イザベラ「中近東の人達との混血が進み、王制も無くなり、多分。祖先の記憶の文化も、全て失われるでしょうね……。でも、人は大勢生き残るわ……。」

 イザベルは続けた。
「ねえ、ヘルメース。貴方はこれからどうするつもり?!」

ヘルメース「この“地球”という星に、骨を埋めます。私は最後まで、この“エジプト”の大地に残って“エジプト神道”の“信者達”の“魂”を、独りも残さず“シリウス”へ、送り届けてやるつもりです。……ハトホル女神の御意志をついで、最後まで……。“それから、私が造り出した数々の発明品は、私の死後。私の部下達に頼んで人目に付かないように、砂漠の平原に埋めます。

 私の残した、パピルスの“全文書”は、アレキサンドリアの“王立図書館”に残しますが。多分、多くは後の時代には残らないでしょう……。」

イザベル「この“地球を棄て”て“シリウス”へ行くなんて。何か寂しいわね。……。」
ヘルメース「“神々”の住まう、楽園の新天地へと召すのですから、皆幸福です。」

イザベル「そう。“イース”は、星の内戦も無い。貧も無い。苦悩も苦痛も無い。慈悲に満ちた“神々”住まう“永遠の楽園”に、正しく違い無いわね……。」



 ヘルメースの爺の叔母“クロノス長官”。それが、彼女の最後の言葉だった。
 イザベルは“地球支部・タイムパトロール総監督、アンナ・テラス ”の部下であり、叔母である。

“現在”の地球における人類の歴史は“男の歴史”である。
 しかし。その人類の造り上げた“男の歴史”の裏には。
 地球の存続に、命をかける。貴い未来からの“女神達の加護”があったのであった。


 ……大西洋の“アクテゥム海戦”の勝敗は。エジプトの惨敗に終わった。
 エジプトは、ローマの支配下となった。

 女王クレオパトラの死後。
 この霊廟の前に立つ、ヘルメースの姿は、間もなく醜く年老い。かつての壮麗たる姿の微塵のかけらも無く、
 ……風の便りでは、ヘルメースはその姿のまま。
 紀元後19世紀の頃まで、最後の使命を果たすべく生き続けたそうである。






原文・2001年3月1日。
2009年4月 アップロード。






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☆第29話☆ΡΙΝ ΚΑΙ ΧΛΑΛΑ
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☆第30話☆ΗΡΜΗΣ(ヘルメース・ヘルメスの書)☆

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