《リリスの帝国編》

★ΓΕΝΕΣΙΣ(創世記)★
★ΣΞΟΔΟΣ(出地球記)★

(本書は一応“R指定作品”であります。)

注・本書は、“超異物性”のある、科学と神話を元にした“SM作品”であり。登場人物及び登場する全ての所在、記述は、全くの架空、空想の諸産物てあります。なお本書は“ポルノ”ではありません。






もしも第3次世界大戦が勃発していたら……?
人類は、どう変わっていただろうか……?









“家畜人ヤプー・リリスの帝国編”ACT1・第1話
★ΓΕΝΕΣΙΣ(ゲネシス・創世記)★

 昔昔。数十万年も大昔……。
 ある広大なる銀河の片隅に、
“エデンの園”と呼ばれる惑星が、ありました。
 
 “エデンの園”は、それはそれは美しい。無数の生命に満たされた、青く澄んだ尊い惑星でありました。

 恵まれし、エデン……。惑星地球よ……。巨大なる生命の宝石箱よ……。
 そこはまばゆいばかりの太陽と海。美しい魚達。そして、青々と澄んだ大気。鳥達……。
 さわやかなる風と、ときに悪戯なる風。満々とたたえたる泉に、澄みたる湖……。

 温暖なる大気の中に、満たされたる緑の草原。咲き乱れたる花々。

 森林には見目麗しく、たわわに実りたる木の実の数々……。
 そこはもう。幾万幾億たる美しい動植物が生きる、至上の楽園でありました。


“エデンの園”は、父なる神様。
“造物主・エホバ”の造りし、美の粋。そして命の賜物でありました。

 そして。楽園には、人間の始祖たる者達……。一組の男女の夫婦がおりました。
 人間の、女の名は
“リリス”。男の名は“アダム”と言った。




 ある日の出来事……。
 女は酷い癇癪を起こし、男を指差し、大空の“造物主”たる“父なる神”に向かって大声を上げ訴えた。

「父よ!! 主よ!! 私はこの男が嫌いです!! この男は私に“女性上位”たる“性交渉”を全くさせてくれません!! それ所か、私ばかりを“支配”したがります!! 私はもうこんな男!! そしてこんな所!! もうこんりんざい、居たくありません!!」

 すると、間もなくして、“女・リリス”の背に、純白なる7対の巨大な翼が生えて出た。


 造物主たる父は、女に言った。
「ならば私の所へ帰って来い!!
“リリス”よ。お前には“天のエデン”を与えよう!!」

 するとリリスは、いかにも嬉しそうに、“男・アダム”に笑みを浮かべると、一度男を振り返り。
 背に生えたる翼を大きく舞い広げ、広大なる宇宙へと壮麗優美に飛び上がって行った。


 その後。男は、その場にたたずんだまま、ただおろおろとばかりしていた。


 造物主は男に言った。
「アダムよ、お前が独りで残されるのは良く無い……。お前とリリスとの縁組みは、間違っておった。それゆえに今度は、お前に従順な女を造ってやろう。そのために儂は、お前の身体の肋骨の一部を取って、それを材料に、お前の伴女たる女をもう一度造ってやろう。そして、お前達は今度こそ、この大地で“産めよ殖えよ!! この地を人で満たせよ!!”お前達の住まうこの大地は、“お前”と、“お前の子孫達の物”である。この地に生息する、ありとあらゆる動植物、好物資源、海も山も皆、お前達の財産である。このエデンを、お前達の手で“素晴らしい自由の楽園”とするが良い。この大地の全てを、お前の手にゆだねよう!!」


 その後。“アダム”たる男は、女たる新妻、
“エバ”を造物主に創ってもらい。有頂天になって喜んだ。“エバ”は、造物主の言う通り、アダムに対して、実に従順な女であった。


 そのようすを、一切天空から観続けていたアダムの最初の妻、リリスは。
 アダムとエバ対する、強い嫉妬の念が起こったのであろうか……。

 突然。稽笑しつつ、アダムに対し、天上界より大声で毒舌を放った。

「“双子のアダムよ”!!!“骨抜きのアダムよ”!!!“好戦の男よ”!!! そなたはいずれ“滅び”の道に進であろう!!!“男”は“女”を、ただの“財産私物”と見なし、“女”は“男”をいくら慕おうと、その“真心”はことごとく踏みにじられるであろう!!! 私は“予言”しよう。男の争いの元凶は“男の欲望”である……。ゆえに、所有は美徳とはならない。野心重き、そして悪知恵深き男よ、お前達は今後、“苦悩の歴史”の中で生きて行くが良い!!!」


 
 間もなくアダムには、リリスを、さして必要とはしなくなっていた。代わりにエバが居たからである。

 しかし、そう思いつつもアダムは。
 長い時間が経過するにしたがって……、

 かつての遠い日の妻……。我が過去の妻……。


「リリスに、そして今一度。“幾十万年後”でも良いから……、リリスにまた、夫婦としての再会を果たしたい……。」と、心密やかに思い返すのだった……。

イース帝国書記「旧約聖書外伝・創世記」および「真死海写本・神統記」より。

 

“家畜人ヤプー・リリスの帝国編”ACT1・第1話「創世記」終わり。
 原文・2001年1月29日。絵・文の写し・2002年2月15日製作。


  


“家畜人ヤプー・リリスの帝国編”ACT1・第2話 
★ΣΞΟΔΟΣ(エクソドス・出地球記)★

 
西暦2222年。地球……。
(ヤプー暦元年。)



「“おお!! 神様!!”」



 独りの若い青年科学者が、絶望の声を張り上げ、同行の仲間達に、事の惨事を訴えた。
“テラト(奇形)”だ!!!“テラス(奇形児)”だ!!! それも物凄く大勢の!!! それも“人”だ!!!」


 ここはかって“地球”と呼ばれた惑星であった……。
 ここは、ほんの少し前の時代までは、幾億幾千もの多様多彩なる生命に満たされたる、ありとあらゆる“生物達の宝庫”……。そして、“至上の楽園”たるに相応しい、唯一、人の悦楽と歓喜のままに住まえる惑星であった。

 しかし今では、プルトニウム爆弾が残した魔の放射能の気流が、今だ、ほんの小さな弓形の島国の上空を旋回し、舞いとどまっていた。

 オゾンホールが、地上上空の2/1を優に支配している。

 気候気流の流れは確実に、元来のコースから外れている。気象は正に異常である。

 地球を取り巻くバンアレン帯の形が、ネジ曲がっているのだ。そして、地軸の位置が可笑しい……。中央を外れて自転をしているので、まるで、地球そのものが、ぴょんぴょんと跳ね回るようにして、回転を維持している。

 太陽風は、時に地表に到達し、直接地球地表を焼き焦がす。
 宇宙から来る放射線は、所構わず、場所を選ばず降り落ちる。

 流れ星。流星雨。彗星。そしてエーテル気流……。
 
 ありとあらゆる宇宙からの危険な放射線……。時々起こるイオン嵐……。

 異常な程、地球でのデリンジャー現象は、強く発現する。
 それゆえに、無骨な精密機械の使用はお手上げになる。
 荒れる、無線通信……。



 今。地球は、地球を取り巻く全ての危険に対して、無防備であった。

「YOUR SHOCK!!!“突然空が落ちて来る”!!!」

 宇宙が、地球へ、何の護りも無きままに、突然地上に落ちて来ているのだ!!
 空が、宇宙が、危険のままに!!
 
 もう、この地球には……。
 大地を持ち上げる、力強き父なる大地の守護神“大アトラス”は存在しない。
 大地を支える、4つの“風の柱”の全てが、事ごとく破壊され……、
 地表表面には、完璧なる地獄の領土、“ミルトラン(大地の果てに存在する、七階層のあると言われる、広大なる古代アステカ人の地獄観・魔の永久地獄)”が、その容貌をむき出している。


 風の強さは火星のごとく。熱い気流は金星のごとく。しかし、一度空が冷えると、地表は、木星の衛星ガニメデのごとくに凍りつくのだ。そして、カロン(第10番惑星とも冥王星の衛星とも言われている星)の星のごとく無風状態の時もある。
 
 一日は24時間ではない……。季節の決まり事も無い……。
 毎日が揺れ動く……。夜の来ない数日が続く日も珍しくは無い。


 確か……。この大地にあった土地の名は
“日本国”であった……。

“神なる父の名”を呼んだ者は、“テラノヴァ”と呼ばれる、地球から約4.3光年も離れた太陽系、“アルファー・ケンタウリ”から、はるばるこの“地球”なる、先祖の大地へやって来た、数百人の軍人達と、学者達で構成された、宇宙船団の乗り組み員達の独りであった。

 彼等は皆。先祖を
“地球人”に持つ、地球人の子孫達で、“新天地・テラノヴァ”に住み。また、その地で生まれ育った、自等を“イース人”と呼び習わす人達であった。



 彼等の中には、奇形の人達に対して素顔で接したいとまで、思った者もいたが、その願いは虚しかった……。
 奇形の者達は、実に生生しかった。足が妙に短く、またも妙に首の長い者……。胴体が、普通の人の1/4程度のしかないが、頭のみが異常に巨大な者……。手足にヒレが付き、ウロコが生え、ときに足の無い者……。角があり、ひづめがあり、もとより人語がしゃべれない者……。異常な位に身体の巨大な者……。頭部が2つ存在する者……。手の本数が異常に多い者……。目が額の中央に一つしか無い者……。虫ようの翼を持ち、虫程に身体の小さき者……。頭髪が、鳥ようの羽毛と化している者……。上半身のみが、ブタや馬に酷似している者等である……。


 イース人達の現在の装束は、まるで現代における“地球人”に対する“異星人”そのものの姿である。

 理由はイース人達が、地球へふり注ぐ強い太陽光線を避けるためと、放射能から身を護るために、従事“防護服”を、体にまとっていなければ、ならなかったからだった。

 イース人達の姿はまるで、宇宙から飛来した“映像ドラマの勇者”であるかのようだった。
 イース人の中の独りが、奇形児の独りに、優しく声をかけてみた。

 その者は、「僕等は“光りの国”から来た。君達を救いに来た。」と流暢な日本語で話した。

 奇形児の独りは、奇妙な姿をした、いわゆる宇宙線防護服を着た人物に、こう返して言った。
「有り難い……!!! 我々は、今にも死にそうに苦しいのだ……!!!」


 
 ここはかつて、地球でも
“東京”と呼ばれる、場所であったようだ。
 そして、奇形児達の多くは、その東京の地下に縦横無人に、そして編み目のように広がる“地下道”の中で、過酷なる苦悩の日々を、しのいで来ているのだ。
 ここなら、比較的過酷な宇宙からの紫外線を防ぐ事が出来る……。



 地下の世界は、地上の世界に比べて、はるかに暗く寂しい……。
 奇形児達の多くは、寄り添いながら、争う事も無く、皆仲良く暮らしているようだ。
 地上の世界は明るいが、彼等の生身の肌を、直ぐに焼き焦がしてしまう。

  
 地上には、壮大なるビルの群が、いまだに整然とし無人のまま、廃虚の姿で残されている。
 それらはかつての“有史以前”。“日本人達”の輝かしい経済と、文化水準の高さ。生活の豊かさを最も誇った頃……。活力に満ちた頃……。そのありのままの姿を、その場におしとどめていた。


 独りのイース人の科学者らしき男が言った。
「もっと奥を探してみよう。もっと奇形がいるはずだ!!」
 
 今ここにいるイース人達は、30人ばかりの探索隊員達である。
 そのうちの半数は学者達。あとは武器を手に持つ、戦闘慣れをした軍人達であった。

 東京の地下道設備は正に、広大に広がる“ラビュリントス(迷宮)”である。

 そのうち、イースの人達は、約10キロ程度の離れた箇所箇所に、小さな日本人達の集団コロニーがある事に気づいた。一戸団体で約5 世帯から約30世帯である。

 この、ラビュリントスの中に住まう日本人達は、奇形児ばかりではなかった。五体満足にそろった中肉中背の者も多くいた。しかしそれでも、彼等日本人は皆一応にして、病弱そうな様相を見せていた。

 地下道を出、地上へ上がって、かつての商店街やデパートの跡地を探れば、衣料品は難無く手に入るが、日本人達の中には、外へ出る事を異常に拒み、ボロを着込み、半裸の体を見せつける者も少なくは無い。
 そして日本人達は皆。一応にして、典型的な栄養失調状態であった。

 彼等の多くはノミ、カイセン、南京虫、シラミ等に、体中の皮膚を蝕まれている。
 それに、寄生虫症による内臓疾患の罹患者達も妙に多い……。

 多分、彼等の平均寿命は、驚く程、短命であろう……。

 老人は少なく、ほとんどが、30代以下の若年層の年令の者ばかりである。
 未成年者らしき者に在っては、その個体数は特に多い……。

 
『日本人らは、日々、学ぶべき学習は行なっているのであろうか?』 
『言葉は判るようだが、文字は読めるのだろうか?』 
『数の計算は、可能なのだろうか……?!』
『自分達の先祖の事を、どの程度、知っているのだろうか……?!』
『そして、彼等は。日々、何を食料にして生きているのだろうか……?!』

 日本人らは地下道を這い回る、ねずみ、ゴキブリ、は虫類、両生類は当然の事……。
 都心郊外まで、時折出かけて行って、野生動物はもとより、口に入るものは何でも皆。木の根、雑草、昆虫、野犬、のら猫のたぐいまでおも食しているようだった。




 ……時に、先を進むイースの先発隊員の独りが、突然、口元を覆い塞ぐと、息を詰まらせ、その場に立ちとどまった。
 間もなく、そのイース人は。止めども無い吐き気嘔吐を催しながら、大声で叫んだ!!
「彼等は、“人”を“食っている”!!! それも“赤ん坊の肉だ!!!“人間の赤ん坊の肉”だ!!!」

 突然の事。彼は、病気で死んだ我が子の肉を鍋で煮込み、食している女に遭遇したのである。


 当初。奇形や病傷の日本人達を観て、哀れに“同情の念”を示していた、イース人達の精神は、突然のごとくに発狂し、一変した!!!

 間もなくイース人の中から、独り“火炎放射兵器”を持ち出すと、地下道の中を逃げ回る“日本人”の姿を追い回し、片っ端から“焼き焦がし”、殺戮を始める者が出現した。


 その者は、とどろきわたる大きな叫び声を挙げて、日本人を呪った!!!
「彼等はもう
“人間”じゃない!!!“クリーチャー(怪物)”だ!!“クリーチャー・ヤプー”だ!!!」


 
醜悪なる者。“ヤプー”。かくして地球に取り残された全ての“日本人”の名は、今後“ヤプー(野蛮なる原始亜人間)”と呼ばれるようになるのだった……。


“家畜人ヤプー・リリスの帝国編”ACT1・第2話「出地球記」終わり。
次回へ続く。

 原文・2001年1月29日。絵・文の写し・2002年2月15日製作。

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